トレードをする際の判断材料として「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」があります。
テクニカル分析はチャートを用いて過去の値動きや直近の高値・安値、各種テクニカル指標(移動平均線やボリンジャーバンド)といった材料から、将来の値動きを予想してトレードする手法です。
仮想通貨取引業者やMT5といったツールを使って情報を読み取って分析し、現在の価格からどのように推移していくか分析していきます。
この章では前者の「テクニカル分析」に焦点を当てて説明していきましょう。
①レンジ相場とトレンド相場
相場の動きは「レンジ相場」と「トレンド相場」の2つしか存在しません。
今の相場がどちらの相場であるかを読み取ることが出来れば、勝率を大きく上げることが出来るでしょう。
どのようにレンジ・トレンドを判断するかは詳しく後述しますので、ここではレンジ相場とトレンド相場の特徴を上げていきます。
レンジ相場
レンジ相場は一定の範囲内を行ったり来たりする相場になり、レンジの下ではロング(買い)、レンジの上ではショート(売り)することで利益を取ることが出来ます。
いち早くレンジ相場を察知することで複数回の利益を取ることができますが利幅は多くありません。
加えてレンジ相場が崩れてしまった場合には的確に損切りする必要があり、前章で説明した「ストップロス」を入れていなければ大きな損失につながるため注意が必要です。
レンジ相場はいつかはトレンド相場に移行するため、2~3回の上下を繰り返したら注文を出さないこともリスク回避の1つとなります。
トレンド相場
トレンド相場は「上昇トレンド」と「下落トレンド」の2種類があり、その文字が示すとおり下値を切り上げて上値とともに価格が上昇していくことを上昇トレンド、逆に上値が切り下がり下値とともに価格が下落していくことが下落トレンドになります。
レンジ相場に比べて値幅を大きく取れるメリットがありますが、「ダマシ」の出現で逆方向に進んだり、値動きのスピードが早いため乗り遅れると「高値掴み」や「安値売り」をしたところでトレンド転換して損失を出す可能性があります。
これらの特徴を的確に押さえることによって、利益を出す判断の一つになると言えます。
②ローソク足の特徴
チャート上には「ローソク足」を使って値動きを表すことが多いです。
他に「ラインチャート」「バーチャート」といったもので値動きを表すこともできますが、日本人のトレーダーは大部分が「ローソク足」使っているため、ここではローソク足の基本を説明していきましょう。
ローソク足を描くに必要な情報は4つ
1、始値 2、終値 3、高値 4、安値 これら4つの価格を組み合わせて描きます。
百聞は一見に如かず、図1をご覧下さい。
図1
大きく分けて「陽線」と「陰線」陰線に分けることができます。
指定した時間軸(5分間なら5分足、1時間なら60分足、1日なら日足)をとって、始まりの価格からから終わりの価格が上がっていれば「陽線」、下がっていれば「陰線」で表すことになります。
- 陽線=始値<終値
- 陰線=始値>終値
そして注目したいのは陽線でも陰線でも「ヒゲ」の存在です。
「上ヒゲ」が出たときは、上昇するも売り圧力が強く戻されてしまったことを意味し、長ければ長いほど下落する可能性が高くなります。
逆に「下ヒゲ」が出た場合は、下落したが買い意欲が旺盛で戻されたことを意味し、長ければ長いほど今後の上昇に期待が持てます。
このローソク足の「ヒゲ」を注目することによって、今後の値動きを予測しやすくなることは間違いありません。
③サポートラインとレジスタンスライン
レンジ相場であってもトレンド相場であってもサポートラインとレジスタンスラインが存在します。
サポートラインは下値支持線と言い、これ以上は下落する可能性が低いと思われる水準を意味します。
反対にレジスタンスラインは上値抵抗線と言い、これ以上は上昇する可能性が低いと思われる水準となります。
これらのラインをチャート上に引くことによって明確な反転水準を予想することができ、そのポイントでロングやショートを入れることによって勝率を上げることが出来るでしょう。
レンジ相場のサポートライン・レジスタンスラインは平行に引くことが出来ることに対し、トレンド相場のラインは斜めに引くことになります。
レンジの場合
ここではレンジ相場の場合のレジスタンスライン、サポートラインについて解説していきます。
具体的には図2をご覧下さい。
図2
レンジ相場を形成しており、高値を平行に引くとレジスタンスライン、下値も平行に引くとサポートラインが明確になります。下値付近でロング、上値付近でショートを組むことによって数回利益を取ることが出来るでしょう。
しかしレンジ相場はいつかは終わるもの。この相場は3回目のレジスタンスにアタックしたところで明確に上方向にレンジブレイク。その後上昇トレンドに移行しました。ショートポジションをとっていた場合はストップロスを入れていなければ大きな損失につながることに注意が必要ですね。
トレンドの場合
ここではトレンド相場でのレジスタンスライン、サポートラインについて解説していきます。
図3
図3はトレンド相場のレンジ・サポートラインです。下値を切り上げながら上値に沿って上げている状況が見て取れます。
このような上昇相場であればショートは禁物。サポートライン付近でロングが仕込めたのであれば、このサポートラインを割り込みトレンド転換するまでは利益を伸ばし続けることができるでしょう。
大きな利益が望める反面、チャートの「ダマシ」に惑わされないようトレンドの初動を読み取ることが大切です。
④移動平均線
テクニカル分析において欠かせない指標の1つに「移動平均線」があります。シンプルですが非常に重要な指標なのでトレード初級者から上級者まで、使わないものはいない言っても過言ではない移動平均線の特徴を3つ述べていきましょう。
最初に、移動平均線の傾きによって「レンジ相場」か「トレンド相場」であるか判断できる点を挙げれます。右肩上がりであれば上昇トレンド、右下下がりであれば下落トレンド、そして横ばいであればレンジ相場と言えます。まずはこの傾きを見ることによってどちらの相場か判断するところからトレードは始まります。
次に移動平均線とローソク足の位置関係によって、相場の強弱を計ることができます。
ローソク足が移動平均線の上にあるときは強い相場、下にあるときは弱い相場であり、前述の移動平均線の傾きと組み合わせることによって、より正確な相場の強弱の判断材料になり得ます。
移動平均線が右肩上がりでローソク足が上に位置していればさらに強い相場であると言えますし、ローソク足が下回っていたらそろそろトレンド転換のサインとなります。
1つの指標だけでなく複数の指標を適切に組み合わせることで、「ダマシ」を避けることにも繋がりますね。
最後に移動平均線はサポートラインにもレジスタンスラインになる可能性が高いことをお伝えしましょう。
こちらも図を用意しましたのでご覧下さい。
図4
右肩上がりの上昇トレンドの時はローソク足が上から落ちてきても移動平均線付近で反発していることが見て取れます。サポートラインとして機能している状態であると言えるでしょう。
しかしながら、いったんローソク足が移動平均線を割り込んでいまうとトレンド転換が起こり、今度は移動平均線がレジスタンスラインになってしまいます。
よって移動平均線でサポート・レジスタンスとして機能するが、割り込んでしまうと逆にレジスタンス・サポートに入れ替わってしまうことが言えます。
これら3つの特徴を押さえることで、さらに相場を正確に予測する力を付けることができるようになるでしょう。